BMI25以上はドミノ倒しに病を誘発! 沖縄の管理栄養士が教える「手ばかり」食事法|そろそろ本気で! 生活習慣病予防

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毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざ
「第1861号 2023年4月6日紙面から掲載」記事より転載

日々の偏った食生活や運動不足が健康寿命を脅かす生活習慣病の要因になると分かっていても、体調の変化など実感がないため改善を先延ばしにしている人も多いのでは? 生活習慣病につながる体の状態や症状をテーマに、「手軽に始められる」「楽しく続けられる」予防の工夫を専門家に聞く。初回のテーマは「肥満」。BMIが25を超えている人は要注意って知ってますか?

適切な量と質、3食しっかり

肥満を防ぐには日々の食生活が大事。新健幸クリニックの潮平芳樹院長は「朝食を抜いたりせず1日3食しっかりとること。代謝も活発になる」と指摘。㈱Caloria代表で管理栄養士の宇栄原千春さんは「適切なカロリーと栄養素をとることが大事」とアドバイスする。

BMI25以上はなぜ怖い?「ドミノ倒し」で病を誘発

ドクターから

潮平芳樹さん|新健幸クリニック院長
しおひら・よしき
千葉大学医学部卒業後、県立中部病院をはじめ各地の県立病院内科で勤務。
豊見城中央病院院長を経て、2019年に新健幸クリニックを那覇市に開院。

 

肥満の判定基準としては、BMI(体重㎏÷身長m÷身長m)が25以上の人が肥満とされる。沖縄県は肥満の割合は男女とも全国平均を上回っており、特に40~50代の男性では、約5割の人が肥満という結果が出ている。新健幸クリニックの潮平芳樹院長は「肥満から糖尿病や高血圧といった生活習慣病になり、そこからドミノ倒しのように脳卒中や心不全など重篤な合併症を誘発するおそれがある。実際、県内の死亡者の48%は生活習慣病に起因するといわれている」と説明する。

イラストのように肥満は、高血圧などの生活習慣病をはじめさまざまな疾患を引き起こす出発点になり、メタボリックドミノとも呼ばれる

3食を12時間内に

肥満になりやすいのは、朝食を食べなかったり、夜遅い時間に夕食をとったりする不規則な食生活、と潮平院長は指摘する。睡眠や覚醒、代謝など体のリズムをコントロールする「体内時計」と食生活のずれが肥満の原因の一つと考えられている。「朝食にご飯とタンパク質をしっかり食べると体内時計が正常に働き、代謝が活発になる。高血圧や糖尿病、脂質異常症の改善にもつながる」とアドバイス。

食事をとる時間の目安としては、7時に朝食をとったら12時に昼食、夕食は19時ごろに済ませるといったように、10時間~12時間の間にとるのが望ましい。「夜21時以降に食べると夜中の寝ている間に血糖値や脂質が上昇し、太る原因になることが知られている。まさに『夜型社会の沖縄』がそれを証明している」と話す。

そのほか、肥満解消の方法として潮平院長は「玄米食がメタボリック症候群の改善に有効性があると、琉球大学第2内科の益崎裕章先生ら研究グループの報告もある。食卓に取り入れてみて」と提案する。

健康寿命を延ばす

医学の発展により平均寿命が延びていく中で、健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)を延ばしていくことが大事、と潮平院長は説く。「せっかく健康診断を受けてもそれだけで満足してか、検査結果でひっかかったことに注意しないで病に至る人も少なくない。精密検査が必要と言われたらかかりつけ医に相談を」と呼び掛ける。

1日に食べる量カンタンに知るには?自分の手のひら 物差しに!

管理栄養士から

宇栄原千春さん
(株)Caloria代表取締役社長

うえはら・ちはる
管理栄養士として病院に勤務した後、2006年に独立。減量指導にあたる。2018年、独自のダイエット理論を体系化した「ミールトレーニング®」を開発

肥満を防ぐには食事でとるカロリーを抑えたり、運動などでカロリーを消費するなどカロリーのコントロールが必要になる。ダイエットのサポートを行うカロリア代表で管理栄養士の宇栄原千春さんは「ダイエットといってもむやみに食事の量を減らしては、必要な栄養がとれず筋肉が落ちたり骨密度が減ったりして健康に悪い。健康的にやせるためにはしっかり食べて、適切なカロリーと栄養素をとることが大事」と説明する。体に必要な五大栄養素である糖質、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルをバランスよくとることで、1日を元気に過ごす活力も生まれるという。

とはいえ毎食ごとにカロリー計算や栄養のバランスを考えて食事をとるのはなかなか難しいこと。宇栄原さんは、1日に何をどれだけ食べたらいいのか、自分の手のひらで量って必要な食事量の目安とする「手ばかりダイエット」を提案している。例えば、野菜は緑黄色野菜を両手のひら1杯分、そのほかの野菜・海藻・キノコは両手のひら2杯分しっかり食べるなど、自分の手のひらが物差しになるので自炊や外食を問わずいつでもどこでもカロリーを把握しやすいのが特徴=下イラスト参照。

  たっぷり食べる  


緑黄色野菜は両手1杯分


そのほかの野菜・海藻・キノコは両手2杯分

 

 

  しっかり食べる  


肉・魚・豆腐・卵をそれぞれ手のひらにのる分(指は含まない)

 

 

  きちんと食べる  


ご飯は1膳当たり拳大の量を3膳分

 

3食で帳尻合わせる

「大事なのは1日にとりたい適切なカロリーと栄養素の帳尻合わせ。毎食ごとに肉や野菜、ごはんをバランスよくとる必要はなく、例えば昼食に炭水化物メインの食事をとったら、夜は野菜を中心にとるなどするといい」とアドバイス。お昼にそば定食を食べた日の夕食での帳尻合わせを宇栄原さんに提案してもらった=下参照。日々の生活に取り入れるための参考にしてみて。

 

宇栄原さんのアドバイス

1日に食べる量カンタンに知るには?野菜スープとサラダで栄養素を補う

      朝   

 

          

 

 

 

 

 

 

      昼

ランチに沖縄そば定食を食べた日の夕食について宇栄原さんは、「具だくさんのミネストローネスープと、サラダをドレッシング代わりの野菜(浅漬け)=写真=と一緒に食べることで1日の帳尻を合わせましょう」とアドバイス。ドレッシングは使わず、あらかじめ味付けしてある浅漬けを使うのがポイント。「サラダは手間がかかるのでちょっと…という方には、市販のパック野菜が便利です」。

 

      夕

【材料】 紫タマネギのマリネ、セロリのクミンマリネ、2色のパプリカピクルス、はつか大根の甘酢漬け。ほか、卵、市販のパック野菜、ミニトマト

浅漬けは和風や洋風など数種類作っておくとすぐに食べられ不足しがちな栄養もとれるのでおススメ。冷蔵庫で2週間保存できます。

1日の食事の帳尻合わせのポイント

ポイント(1)

足りない栄養素を補う!
※左の例で朝昼あまりとれていない栄養素は、ビタミン、ミネラル、タンパク質

ポイント(2)
アンバランスにしてバランスをとる!
※お昼に炭水化物(糖質)を取り過ぎたので、夕食はほぼ糖質ゼロにしてもOK

ポイント(3)
生野菜をたくさん食べる!
※一番不足している栄養素を補える

 

 

 

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